NO. 655
坂名:福寿庵坂
住所:東京都あきる野市草花

今回は、あきる野市草花にある福寿庵坂について取り上げてみたいと思います。
場所はJR五日市線・東秋留駅から北東に900mほどのところにある福寿公園と森山会館の間にある坂道です。
前に取り上げた「おりきの坂【NO.653】」からなら東へ徒歩3分ほどですね。

[西側の坂上あたりの様子と坂名の由来について]


福寿庵坂【NO.655】1
写真1

まずは坂上あたりの様子など。(写真1)
写真1左側のいずみ通りから下る形をしていました。
写真1右側はこの高低差なので、景色もそれなりに開けてましたね。

坂名の由来については案内看板もすこし離れたところにありましたが、秋川市地名考にも記載があり、そちらのほうが詳しかったのでまずは秋川市地名考のほうを抜粋させていただくとですね、
『森山から下の田んぼの方へ下りる坂で、東寄りと西寄りと二つある。両方をいうのであるが、坂の標示は東寄りに出ている。この坂の上のところに福寿庵という寺があった。臨済宗であったが、明治になって慈勝寺へ合寺し、最近まで堂宇はあったが、今は森山会館になっている。』
とありました。

「東寄りと西寄りと二つある」とあるとおり、ここは下って上る形をしている坂道で、写真1は西寄りの坂道ということになりますね。(写真2)
あと森山会館は、写真1左側のいずみ通り沿いにありました。

なお森山会館の敷地内には、福寿庵の観音堂(小林社寺建築のHPには2019年新築工事とあったので、かなり新しいみたいです)があるようですね。

[坂下あたりの様子]


福寿庵坂【NO.655】2
写真2

西寄りの坂道の坂下あたりの様子です。(写真3)
けっこうな高低差でしたね。

また石垣が古そうなので、今昔マップで古地図も見てみると、掲載されている一番古い明治39年の地図にも今と同じ場所に記載があり、どうやらいずみ通りのほうがあとからできた道のようでしたね。

福寿庵坂【NO.655】3
写真3

東寄りの坂道の坂下あたりの様子です。(写真4)
なんともワイルドなというか緑が多くある坂道でしたね。


[東側の坂上あたりの様子と白石の井戸]


福寿庵坂【NO.655】4
写真4

東寄りの坂道の坂上あたりの様子です。(写真4)
写真4右側がいずみ通りですね。

ちなみに坂道の途中には「白石の井戸」と書かれた案内看板があったので、こちらも抜粋させていただくとですね、
『この坂は、道の北側にかつて慈勝寺の末寺福寿庵があったことから、福寿庵坂と呼ばれています。このすぐ下にはこんこんと清水の湧き出す井戸があり「白石の井戸」と呼ばれています。かつては穴のあいた白い石が中央にあり、その穴から清らかな水が湧いていたといわれ、名の由来になりましたが今はありません。一月十三日の繭玉(米の粉の団子)作りにこの水を用いると蚕がいい繭を作ると信じられ、養蚕の盛んな時代にはこの水を求める人で賑わい、露店が出たほどだといいます。(略)』
とありました。

「白石の井戸」が写真4左側の斜面の途中にあったみたいですね。

福寿庵坂【NO.655】5
写真5

写真4左側の斜面地に入れる道があったので、歩いてみると、かつての「白石の井戸」ぽい場所がありました。(写真5)
ただこの日は、恒久なのか一時的なのかわかりませんが、湧水はでていませんでしたね。

ということで、けっこう前の写真での紹介となりましたが、今回はこんな感じです。

地図:東京都あきる野市草花


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